2019年度

2018年にVieux Fort漁港を利用する漁業者を含む地域住民と計画した漁港機能改善のための市民参加型プロジェクトには漁港の環境改善計画が含まれています。漁港での水揚げ過程ででてくる水産物の残滓による悪臭や景観の悪化が指摘されており、このプロジェクトでは、2か月の滞在期間における残滓の発生や処理状況を明らかにし、残滓の利用法について検討しました。調査結果より Gray triggerfishの皮が利用可能であり、また、地域で抱えている問題の一つである多量の漂着海藻から抽出されたタンニンでなめすことができることが確認できました。

2018年度

セントルシアには多くの観光客が訪れます。プロジェクトサイトであるVieux Fortには国際空港がありますが、外国から来た多くの観光客の滞在は少なく、多くが北部に滞在します。北部のGros IsletなどではFish Nightと呼ばれるイベントも実施されていて、多くの売店やレストランで魚料理が提供されていて、ツーリストが楽しい時間を過ごしています。この国最大の水産物の水揚げがあるVieux Fortにおいても、この町にある漁港地域を中心に新鮮な水産物を活用した地域基盤の向上・活性化が期待できます。このプロジェクトでは、地域住民とともにワークショップを開催し、地域の問題分析を行い、プロジェクト『ビューフォートにおける魅力ある漁港づくり』の実施計画をまとめました。

セントルシアは観光産業にも依存していて、この国の水産物のうち特にツナやシイラなどの大型魚はホテルやレストラン等でツーリスト向けに提供されています。一方で、多くの水揚げがVieux Fort漁港でおこなわれていますが、大型魚を除く小型の魚類は主に地域住民により消費されていて、ツーリスト向けの有効利用も期待されています。このプロジェクトでは、Vieux Fortにおける水揚げ魚と利用状況を調査し、有効利用に適した魚種を明確にしました。また、水揚げされる水産物を地元住民に親しんで食してもらうことを目指してFISHBOOKを作成しました。このFISHBOOKにはVieux Fort漁港で水揚げされる魚と簡単な調理方法が示されています。